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血液1滴から始まるがん診断革命:RARE-seqによる高感度cfRNA解析の可能性

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「血液1滴で癌が診断できます!」というような宣伝は、すばらしいものから超怪しいものまで数多く出ていますが、基本的には血液マーカーを測定したり、血中に流れているRNAやexosomeを解析したり、というものがほとんどです。
この論文は血中細胞外RNA(cfRNA)を高感度で検出する新規手法RARE-seq(random priming and affinity capture of cfRNA fragments for enrichment analysis by sequencing)を開発し、非侵襲的な遺伝子発現プロファイリングや疾患モニタリングへの応用可能性を検討したという内容です。
RARE-seqは、非小細胞肺がん(NSCLC)において、ステージ進行に伴いcfRNA中の特徴的な遺伝子発現シグネチャの検出感度が向上することを示しました(I期30%、II期63%、III期67%、IV期83%)。また、腫瘍組織を用いた従来のctDNA分析よりも高感度であることが示されました。
さらに、RARE-seqは、原発不明がんにおける組織起源の特定や、良性肺疾患の評価、mRNAワクチン接種後の薬物動態と薬力学の同時測定など、多様な臨床応用への可能性が示されました。
偽陽性の可能性やコストなど、解決すべき問題は多いですが、将来的には大変有用なテクノロジーになる可能性があると思います。

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出典: AI生成画像

論文情報:
Nesselbush, M.C., Luca, B.A., Jeon, YJ. et al. An ultrasensitive method for detection of cell-free RNA. Nature 641, 759–768 (2025).
https://doi.org/10.1038/s41586-025-08834-1

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