「膝の痛みが和らいだ」 糖尿病薬メトホルミンがKOA患者に新たな可能性
変形性膝関節症(KOA)患者の膝痛に対するメトホルミンの効果を検証したRCTが報告されました。
オーストラリアのビクトリア州で、地域住民を対象とした二重盲検プラセボ対照試験を実施しました。対象者は、膝の痛みがあり、BMIが25以上のKOA患者107人です。参加者をメトホルミン投与群(2000mg/日)とプラセボ投与群にランダムに分け、6ヶ月間追跡しました。主要評価項目は、VAS(Visual Analog Scale)で測定した膝の痛みの変化です。
【結果】6ヶ月後、メトホルミン投与群はプラセボ投与群と比較して、膝の痛みが有意に軽減しました(-31.3 mm vs -18.9 mm、群間差 -11.4 mm、P = .01)。副作用は軽度であり、主に消化器系の症状でした。6ヶ月間の平均体重変化は、メトホルミン群で-1.8 kg、プラセボ群で-1.2 kgで、有意差はありませんでした。この研究の結果、メトホルミンは、過体重または肥満の膝OA患者の症状を改善する可能性が示唆されました。サンプルサイズが小さいため、大規模な臨床試験で確認する必要があると考えられます。

論文情報
Pan F, Wang Y, Lim YZ, et al. Metformin for Knee Osteoarthritis in Patients With Overweight or Obesity: A Randomized Clinical Trial. JAMA. 2025;333(20):1804–1812. doi:10.1001/jama.2025.3471