人口減少でも進む生物多様性の喪失:土地利用変化がもたらす影響

人口減少でも進む生物多様性の喪失:土地利用変化がもたらす影響

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生息地の喪失と種の減少は、人口増加と経済成長に直接関係していると言われています。わが国は少子高齢化によって人口減少が世界でももっとも進んでいる先進国の1つです。本研究では、鳥類、蝶、ホタル、カエル、植物など、様々な生物群を対象に、2004年から5〜17年間の生物多様性の変化を分析しました。

(結果)
人口の増減に関わらず、ほとんどの種で生物多様性の損失が続いており、その主な原因は、都市化、耕作放棄、農業集約化などの土地利用の変化であることが示されました。人口が安定している地域でのみ、生物多様性も安定している傾向が見られました。

この研究は、人口減少が必ずしも環境回復に繋がるとは限らないことを示唆しており、生物多様性の保全と回復戦略においては、人口減少の結果を考慮に入れる必要があると結論しています。
特に、日本のように人口減少が進む国では、土地利用の変化が生物多様性に与える影響を理解し、適切な対策を講じることが重要です。

人口減少でも進む生物多様性の喪失:土地利用変化がもたらす影響
人口減少でも進む生物多様性の喪失:土地利用変化がもたらす影響(出典:AI生成画像)

論文情報

Uchida, K., Matanle, P., Li, Y. et al. Biodiversity change under human depopulation in Japan. Nat Sustain (2025).
https://doi.org/10.1038/s41893-025-01578-w

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