サンショウウオの登攀適応:手足と足裏の進化が示す環境適応の巧みさ
子どもの時に家でイモリ(アカハライモリ)を飼っていましたが、いつの間にか水槽から逃げられてしまい、水槽の壁を登ったのか?と不思議に思っておりました。というのは爬虫類であるヤモリは吸盤のような足底構造をしていて、壁などを器用に移動できますが、両生類のイモリはそのようなことができない、とされていたからです。わが家のイモリが逃げた謎は今でも解けておりませんが、この論文ではイモリと同じ両生類であるサンショウウオ(salamander)の種類のちがいに注目して、登攀適応を身につけたサンショウウオの身体的特徴を明らかにしたものです。
著者らは主に北米に生息するAneides属とPlethodon属のサンショウウオで、樹上性、岩場性、地上性の種を比較しました。その結果、登攀性の高い種は、非登攀性の種に比べて、相対的に長い手足、大きな足裏、特殊な指の骨の形状を持つことが明らかになりました。また、一部の種では、足裏の微細構造にヤモリなどの登攀動物との類似性が見られました。
これらの形態的特徴は、サンショウウオが様々な環境に適応するために進化したと考えられます。特に、樹上性と岩場性のサンショウウオでは、それぞれ異なる選択圧が働いた結果、微妙に異なる形態的特徴を持ったと考えられます。
ということでわが家のイモリにも選択圧がかかって水槽の壁を登れるようになったものと思われます。

参考情報
Salamander ecomorphology reveals a unique suite of climbing adaptations
https://doi.org/10.6084/m9.figshare.c.7963826.
