テイラー・スウィフトの発音変化にみる方言適応とアイデンティティ

テイラー・スウィフトの発音変化にみる方言適応とアイデンティティ

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私は大阪出身なのですが、周りをみると東京に出てきてから長い年月が経っているにもかかわらず、関西弁が色濃く残っている人、残っていない人がいるのは不思議なことです。

さて本論文は、歌手テイラー・スウィフトの発音(方言)が、彼女のキャリアの異なる時期において、居住地や音楽ジャンルの変化とともにどのように変化したかを音響分析によって調査したものです。ナッシュビル時代には南部方言の特徴を示しましたが、フィラデルフィアに戻った後にはこれらの特徴は薄れ、ニューヨーク時代には低母音の区別を強調するようになりました。具体的にはナッシュビル時代は「ride」という単語の「i」の発音が短くなり、「rod」のように発音される南部特有の特徴や、「two」の「oo」が「tee-you」のように発音される変化が見られました。しかし、彼女がポップミュージックを歌い始めた頃には、母音の発音が長くなり、「cot」と「caught」のような単語の区別が明確になるペンシルベニアやニューヨークの方言の特徴が見られました。また、ニューヨーク時代には、社会問題への発言が増えた時期と一致して、声のピッチが低下しました。

これらの変化は、場所、職業、リーダーシップへの意識が、個人の方言適応に複合的に影響を与えることを示唆しています。スウィフトの方言の変化は、地域社会への帰属意識やアイデンティティの表現が、特定の期間や目標の中で可変的であることが音響分析によって捉えられた興味深い報告です。
東京に進出した関西お笑い芸人の関西弁の変遷についても誰か解析していただきたいです。

テイラー・スウィフトの発音変化にみる方言適応とアイデンティティ
テイラー・スウィフトの発音変化にみる方言適応とアイデンティティ(出典:AI生成画像)

参考情報
Acoustic analysis of Taylor Swift’s dialect changes across different eras of her career
https://doi.org/10.1121/10.0039052

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