見た目年齢が命を左右する？AI「FaceAge」ががん予後を予測
「昔と変わらないですね！」というのはおそらく誉め言葉なのだと思いますが、これはつまりヒトは見た目でその人のおおよその年齢を判断しているということです。実際人の老化速度は個人差が大きく、実年齢よりも外見が生物学的年齢や健康状態を反映することがあります。この論文は、顔の写真から「生物学的年齢」、つまり「体がどれだけ若いか、あるいは老化しているか」を推定する深層学習システム「FaceAge」を開発し、その臨床的有用性、特にがん患者の予後予測における可能性を検証したという内容です。
FaceAgeは、60歳以上の健康と思われる個人の大規模データセット（IMDb-Wiki、UTKFace）を用いて訓練・初期検証されました。その後、オランダと米国の2施設から得られたがん患者6196人のデータ（MAASTRO、Harvard Thoracic、Harvard Palliativeコホート）で臨床的有用性が評価され、非がん患者参照コホート535人と比較されました。予後との関連は、生存期間分析（カプランマイヤー法、Cox回帰モデル）により、種々の臨床的共変量を調整して評価し、終末期の転移性がん患者において、FaceAgeを既存の臨床予測モデルに組み込むことで性能が向上するかを検証し、老化関連遺伝子との関連も解析されました。
結果として、FaceAgeは様々な種類やステージのがんにおいて、実年齢や他の臨床因子とは独立した有意な予後予測性能を示しました。FaceAgeで「老けて見える」と判断された患者は、生存率が有意に低い傾向が見られました（例：全がんコホートで10歳老けて見える毎のハザード比1.151）。がん患者は平均して実年齢より約4.79歳老けて見えることも示されました。また、FaceAgeは遺伝子解析により細胞老化の分子的メカニズムとの関連が示唆されましたが、実年齢は同様の関連は見られませんでした。
「人は見た目が9割」なんて本がありましたが、それをAIで証明したということですね。美容整形手術を受けたヒトでも同じように判断できるのでしょうか？
