プラスチック袋規制は海を救うか?
プラスチック汚染は世界的な問題となっており、最近ではコンビニで買い物をしたときに「レジ袋は必要ですか?」と聞かれるのにも慣れてきました。ケチな私はそういわれると「いりません」と答えておりますが、一方で「こんなささやかな抵抗で、地球を救えるのか?」という疑問も生じてしまいます。
この論文では米国における州や地方自治体のプラスチック袋規制の導入状況と、市民科学による海岸清掃データ(2016年1月~2023年12月の45,067件の海岸清掃活動)を組み合わせて分析することで、プラスチック製の買い物袋の禁止や有料化といった政策が実際に環境中のプラスチックごみを減らす効果があるのかを評価したものです。
結果
プラスチック袋規制は、規制のない地域と比較して、海岸清掃で回収されたごみ全体に占めるプラスチック袋の割合を25%~47%減少させることが明らかになりました。
特にプラスチック袋の完全禁止や有料化は効果的ですが、部分的な禁止は効果が小さいことが示唆されました。州レベルでの政策が最も効果的であり、海岸や河川、湖など、あらゆる地理的スケールで効果が確認されました。またプラスチックごみが特に多い地域で、より大きな効果が見られました。さらにプラスチック袋規制のある地域では、規制のない地域と比較して、プラスチックに動物が絡まっている事例が30%~37%減少している可能性も示唆されました。
米国と日本ではごみの捨て方も違うのでしょうが、今後もケチを貫いてプラスチック袋は使わないようにしよう、と心に誓ったのでした。

論文情報
Anna Papp, Kimberly L. Oremus ,Plastic bag bans and fees reduce harmful bag litter on shorelines.
Science388,eadp9274(2025).
DOI:10.1126/science.adp9274