「タウリン=若返り」は本当?年齢と関係しない新研究の結果とは

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アミノ酸の1種であるタウリンtaurine (2-aminoethane-sulfonic acid)は1827年に発見されました。その生理的な役割は詳細に調べられ、胆汁酸の抱合、細胞の酸化還元、浸透圧調節、膜安定化、カルシウムシグナル伝達の調整など、数多くの重要な生物学的役割を担うことが報告されています。2023年にSinghらはタウリン欠乏が老化の促進因子である可能性を報告しました(Science 380 , eabn9257, 2023)。この論文ではマウスにタウリンを投与したところ、寿命が10〜12%延長し、健康寿命も改善されたとしており、タウリンの抗加齢作用に大きな注目が集まりました。

今回の論文は、タウリンの老化における作用を検討するために、ヒト、サル、マウスの3つの哺乳類モデルにおいて、縦断的および横断的なデータを用いてタウリン濃度を測定したものです。その結果、健康な個体では、血中タウリン濃度は加齢に伴い減少せず、むしろ増加するか、変化しないことが明らかになりました。また、個体間のタウリン濃度の変動は、加齢による変動よりも大きいことが示されました。さらに、タウリン濃度と運動機能や体重などの健康状態の指標との関連性は、年齢や種によって異なり、一貫性がないことが示されました。

これらの結果から、著者らは、血中タウリン濃度が低いことが加齢の表現型を促進するという考えを支持せず、血中タウリン濃度は加齢のバイオマーカーとして有用ではないと結論付けています。また、タウリン補給が高齢化や高齢に伴う症状の治療に有効かどうかは、状況によって異なると考えられます。

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「タウリン=若返り」は本当?年齢と関係しない新研究の結果とは
「タウリン=若返り」は本当?年齢と関係しない新研究の結果とは(出典:AI生成画像)

論文情報

Maria Emilia Fernandez et al.,Is taurine an aging biomarker?.Science388,eadl2116(2025).DOI:10.1126/science.adl2116
http://doi.org/10.1126/science.adl2116

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