a snake with its mouth open next to a syringe and pills

ヘビ毒に20年挑んだ男から、汎用抗毒素カクテルの可能性が誕生

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現在でもヘビ咬傷は、主に発展途上国で1日約200人の命を奪い、年間40万人に障害を負わせています。その治療に不可欠な抗毒素は、今なおヴィクトリア朝時代から変わらぬ製法、すなわちヘビ毒を搾取し、馬などの動物に少量ずつ投与して免疫反応を促し、その血液から精製するという前近代的な手法で作られています。

子どものころ、近くの原っぱにはマムシもいたので、大人からは「ヘビに咬まれないように」と注意を受けていましたが、子ども心に「すき好んでヘビに咬まれるヒトはいないだろうに…」と思っておりました。

しかし世の中には想像をはるかに超える人物もいるようで、この論文中のTim Friede氏は、自らヘビ毒を注射したり噛まれたりして、ほぼ20年間にわたってヘビ毒に身をさらしてきたという奇矯な方です。彼の血清からコブラなど19種のヘビの神経毒と反応する抗体が分離されました。研究チームは、Friede氏から単離された2つの抗体とヘビ咬傷の95%に存在する酵素を阻害する低分子薬varespladibを含むカクテルが、多くの種類のヘビ毒に対して治療的効果を有することを明らかにしました。臨床試験はこれからだそうですが、単一の汎用抗毒素カクテルになるのではないかと期待されています。

教訓「虎穴に入らずんば虎子を得ず(そこまでして虎子を得たくはないが…)」

a snake with its mouth open next to a syringe and pills
出典:AI生成画像

論文情報
Snake venom protection by a cocktail of varespladib and broadly neutralizing human antibodiesGlanville, Jacob et al.Cell, Volume 0, Issue 0

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